境界性人格障害と併発しやすい病気・障害
境界性人格障害の情緒や対人関係の不安定さ、見捨てられることへの過敏な反応、衝動的な行動や空虚感、抑うつ的で自己否定が強いなど多くの精神疾患に類似する症状が有ります。
また、幼少期の不安定な愛着や不安体験、成長段階での愛情不足などが原因で発症する境界性人格障害は、発症当初よりほかの発達障害を持っていたり、別の精神疾患を併発することが有ります。
幼少期から発達障害だった人も多い
境界性人格障害が発症する前に、すでに何らかの発達障害だった人も少なくありません。
発達障害は、先天性の脳機能障害で乳幼児期に生じますが、精神障害や知能障害を伴うこともあります。
ADHD/注意欠陥多動性障害
境界性人格障害の人は、幼少期からADHDであった人が約1/3いると言われます。
遺伝要因が強く、親の支配的で非共感的な子育てが原因と考えられ、新しいものへの好奇心は強いものの、注意や興味が短期間で変わってしまい衝動的です。
境界性人格障害と養育要因が重なる部分が多く、不安が強く気分が変わりやすい点で共通点があります。
子供の頃にADHDを発症し、成長してから境界性人格障害を発症する人が多いと考えられています。
アスペルガー症候群
親のしつけや愛情などが原因では無く、脳機能の障害と考えられていますが、明確にはわかっていません。
会話能力は正常でも、対人関係が上手く築けず、相手の気持ちや表情を読むことが出来ず、誤解を招いたり、トラブルになることがあります。
境界性人格障害は、人と関わっていくことで不安を解消しますが、アスペルガー症候群は不安や問題を起こしたら一人を好みます。
発達障害であるアスペルガー症候群の診断を受けていて、後に境界性人格障害を併発することが有ります。
精神障害を併発しやすい境界性人格障害
境界性人格障害は、精神病と神経症の境目という意味合いですから、症状によっては他の精神疾患を併発しやすいと言えます。
一番多く併発し、患者によっては一緒に発症するのが「うつ病」になります。
境界性人格障害の症状に、抑うつ感が強まり気分が沈み込んで、自己否定感に悩まされるようになると「うつ病」を併発することもあります。
また、気分の落ち込む「うつ」だけでは無く、元気で気力にあふれ爆発的に明るい気分の「躁」を繰り返す「双極性障害/躁うつ病」も、併発する病気としてあげられます。
「躁」の時には、自分が病気などと考えていないので、何でも出来る万能の人と思って行動する為、とんでもないトラブルを起こすことが有ります。
「うつ」状態になると病気を認識して辛さが強くなります。
精神障害の中でもっとも自殺企画が多く、「うつ病」よりも「双極性障害」の方が、周囲に迷惑を掛けてしまう為に、社会的・人間関係的に破綻しやすく、失うものが大きいリスクの高い病気になります。
境界性人格障害で被害妄想や虚言、幻聴などの症状が対人関係の中で現れることが有りますが、「統合失調症」の症状に似ています。
しかし、境界性人格障害の症状は一過性で治りますが、「統合失調症」の場合は簡単に治ることは無く、自分と他者の境目が分からなくなり、自我が侵犯される「自我障害」が起こることもあります。
自分の失敗や傷つくことを恐れるあまり、チャレンジすること自体を避ける「回避性人格障害」は、否定的な思い込みが強く、最初から何もせずにいるのが安全で楽だと考えます。
対人関係でも不安や緊張が強く、自信が持てずに避けて通ります。
境界性人格障害で他者から避けられて傷ついたり、相手にされずに怒っても、自己嫌悪から人間関係を上手く築けない自分が嫌で、関わるのを避けるようになると、「回避性人格障害」を併発してしまいます。
人や社会と繋がっていたい、依存して生きる境界性人格障害と「回避性人格障害」は真逆に思えますが、自分に自信が持てずに自己否定する点はよく似ているのです。
スポンサーリンク