境界性人格障害の人の脳
「境界性人格障害」の人は、些細なことでも激しい感情に突き動かされて通常では考えない行動に出ることが有ります。
人の感情や行動は脳の機能に大きく関係しています。
境界性人格障害を引き起こす脳の障害や機能低下が関連するのであれば、脳科学の分野から効果的な治療法が期待できると考えられていますが、まだ結論は見えていません。
母体の中で受け継ぐ脳の機能要因
生まれてからの成長段階で、脳は段階的にいろいろな経験や刺激を受けて成長していきます。
赤ちゃんは生まれる以前の母体の中に居る段階ですでに、お母さんの感情や精神状態、音や刺激に反応して脳を成長させていると言われます。
生まれつきや生育段階での脳の成長は、誰が悪いわけでも誰の責任でもありませんが、脳が持つ個性的機能は遺伝によるのかどうか、いまだ研究段階です。
しかし、境界性人格障害の血縁を調査した研究では、血縁者に同じ障害の発症率が高いという説があります。
同じ人格障害でなくても、うつ病や反社会性人格障害や薬物依存になる人が多いとも言われています。
このような研究が示唆することを考えれば、母体の中に居る段階から母親や血縁者の精神的要因が関連していると考えるのを否定できません。
脳の前頭葉の機能低下と偏桃体過敏が関連する!
境界性人格障害の人は脳の前頭葉(前頭前野)の機能が低いと言われます。
不安感や感情のコントロールをしているのが前頭前野になり、機能低下があると対人の気持ちの理解や思いやることが難しくなり、程よい関係を築きにくくなります。
また、前頭葉の海馬の隣にある偏桃体では、喜怒哀楽や好き嫌いなどの情動を司り心と直結しています。
偏桃体が過敏だと、不安や恐怖に対して必要以上に反応してしまい、普通に対応している人に対しても「怒っている」「睨んでいる」「大嫌い」などと過剰に感情を揺り動かします。
境界例の人の脳波を調べると、突発性異常を示す情動障害がみられます。
脳波に異常があれば、有効な薬物治療で脳波の改善を示すことが分かっています。
脳波異常は情動障害や自傷行為、自殺企画などの衝動行為の症状と密接に関係しており、境界性人格障害の理解や治療に重要であると考えられるようになりました。
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