なぜ境界性人格障害は女性に多いのか
境界性人格障害の治療で通院している人の割合は、女性が男性の約4倍もいるとされています。
しかし、治療に関係なく発症者を見ると男女の差はそれ程無く、同じぐらいの割合で発症しています。
ただ、女性の方が圧倒的に症状が重く、自傷行為や自殺企画も断然女性が多くなっています。
女性としての理想像がなくなった母子関係の不安定
女性の社会進出や理想とする生き方の分散、多くの選択肢がある中で女性としての良い妻、良い母になって家庭を守るという従来からの女性像が崩れ、見えなくなったことに一因があると言われます。
現在の母親たちが子育てと養育に不安を抱えこみ、社会との隔たりがあると感じることで、自分の子供への感情が薄らいで、母子関係が不安定になっています。
子供がいなければ社会人として職場でも必要な存在になれるのに、母でいる事の喜びよりも一人の女性として生きる方が魅力であり、子供への愛情は希薄になってしまいます。
母として女性としての理想像が身近にいない事で、自己同一性が揺れ動いているのです。
女性ホルモンによる気分や体調への影響
女性の自傷行為や自殺企画が多くなる原因に、女性ホルモンの影響があげられます。
10代後半から30代前半頃にあたる青年期から成人期前期は、女性ホルモンの分泌が活発になります。
この時期は境界性人格障害の発症や重症化がみられる時期と重なり、感情的反応や気分の変動、うつや不安を感じやすくなる女性ホルモンとの関連性が指摘されています。
気分や体調に影響しやすいことから、女性のうつ有病率も男性より高くなり、境界性人格障害の症状も重くなる特徴があります。
女性ホルモンのエストロゲンは30代半ばをピークに減少してくるので、境界性人格障害の症状も年齢を重ねるに従って軽くなり、自然と落ち着いてくる傾向があります。
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