境界性人格障害は完治するのか
人格障害は遺伝や性格だから、一生治らないと長い間言われてきました。
しかし、境界性人格障害は、遺伝よりも生まれた後の成長過程に問題があり、親に育てられた環境や受けた心のキズが原因となっていることが分かってきました。
これによって、適切な治療と支える人が存在することで、境界性人格障害はほとんどの場合、治すことができる病気になっています。
適切な治療で完治率約50%、回復率90%
境界性人格障害は的確な治療を継続していけば、約6年後には半数の人が完治するとの結果が出ています。
完治するとは、境界性人格障害(BPD)の診断基準を満たさなくなったことを表しています。
また、何度も自傷行為を繰り返し、自殺未遂や自殺企画をした人でも治したいという意欲が高く、支える人の存在があれば90%は回復していきます。
回復しない人は、どうなったのかと言えば残念ながら自殺によって亡くなっています。
境界性人格障害は、治らない精神病では無く、治そうとする強い意欲があることと治療を支える人の存在によって、回復し完治することが出来るのです。
激しい苦しみと辛い時期は一時の事として、新たな歩みを始めることが出来るのです。
諦めないことが、患者自身にも家族・パートナーにも必要です。
治療後と治った人のその後
境界性人格障害の症状から治療を始めて、長い時間かかりBPDの診断基準を満たさないと医者から言われた時には、どんなにうれしいことでしょう。
綱渡りのような不安定な時期を乗り切ったからこその回復であり、完治になるのです。
治療のしやすい(回復しやすい)かどうかには、特徴があります。
- 医者や家族などに助けを求めて、積極的に治療を受けてよくなろうとする
- 言語化能力(感情や思いを言葉に変えることが出来る)が高い人
- 親やパートナーが安全場所となり治療に協力的である
などによって、治療がうまく進んで回復が早くなります。
治療後も治療中と同様に心配事があれば、支え手が協力していくことが大切です。
- 解離性障害、薬物依存などがあってBPDの裏に隠れているものが大きい
- 脳前庭葉の機能低下がみられる
- 気分変調症がある
- 常に側に居る支え手がいない
このような場合には、治療が手間取る要因となって回復に時間がかかります。
境界性人格障害は、時間の経過である程度は回復すると言われています。
治った人も、全く過去の不安や恐怖が起こらないわけではありません。
しかし、その恐怖や不安の後に治ったという体験があるので、再び以前と同じようなひどい症状になることはありません。
回復し治ったという事実が自信につながるからです。
スポンサーリンク