境界性人格障害による離婚と慰謝料
境界性人格障害の配偶者との生活はすでに破綻しており、夫婦間でも正常な話し合いができない状態であれば、家庭裁判所の離婚調停で決めることになります。
子供がいる場合には、その親権や養育費などの問題も出てきます。
境界性人格障害が病気では無く、障害でありどのような症状があるのか、弁護士や調停委員に納得いく症状や現状説明が必要になります。
離婚に際しての精神的苦痛に対する慰謝料請求は難しい!
境界性人格障害であることを知ったうえで結婚したが、思った以上に症状が激しく暴言やウソ、攻撃的であり自傷行為による脅し、自傷行為を止めようとして自分も怪我をしたことなど、離婚できる材料はあっても、慰謝料については細かな問題があるようです。
度々の暴言や自傷を目の当たりにすることで、精神的に追い詰められていく配偶者は自らも精神安定剤や抗不安薬を服用するようになり、夫婦でいる事に限界を感じて離婚を決意します。
離婚について話し合い出来る症状では無いのが、境界性人格障害です。
人格障害は離婚理由として認められる現状があるので、離婚調停の申し立てで協議離婚は成立するでしょう。
そして、生活能力のない境界性人格障害の人の元では、育児や子育てする環境では無いと認められ親権は配偶者のものになるでしょう。
例えば、妻が境界性人格障害であり度々のウソと虚言、自傷行為に自殺未遂を繰り返して、離婚したいと話したとたんに逆上して「一緒に死んでほしい」と心中を迫られたりしたら、夫は早く逃げ出すべきです。
しかし、この結婚生活の状況を予期出来なかったのかと言うと、全くそうではないと見られてしまいます。
境界性人格障害であったこと、自傷行為やウソがあることは結婚前から知っていたのであれば、その症状によって夫が受けた精神的苦痛に対する慰謝料は認められないでしょう。
自傷行為を止めに入った時に怪我をしたことに対しては請求出来ますが、するかしないかは本人に任されます。
慰謝料の範囲と本人に能力があるか?
境界性人格障害の妻と過ごした数年は、妻の親の面倒を見る形で夫が経済的にも精神的にも、苦痛を感じながら一切の面倒を見てきたとしても、その分を慰謝料として請求することは出来ません。
夫婦間に親が入り込む事は出来ませんから、妻の親に請求したいと思っても出来ません。
精神的にやられてしまった夫は、そうなる前に逃げ出していれば良かったが、自傷行為や子供が気になって逃げられなかったという時点で、
夫はその場に残る事を選択しています。
逃げなかった夫が離婚になってから、その時の「慰謝料」を要求しても難しいのです。
「離婚」の話を直接切りだせば、逆上して刃傷沙汰になる事は分かっているはずなので、夫の言い分は理解されても慰謝料の請求は難しくなり、逆に妻が逆上することを言ってしまった夫に慰謝料請求が起こされる場合もあります。
境界性人格障害との離婚の時の慰謝料請求には、十分な資料(何時、何処、状況、結果、被害、証拠など)が揃っていて、正当だと認められなければ難しいと考えた方が良いでしょう。
刃物を持ちだしたのが妻だとしても、そのきっかけを作ったのが夫であれば慰謝料請求は難しくなるのです。
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