境界性人格障害の父親との関係
境界性人格障害の発症には、母親と子供の関係が重要視されていますが、母親と子供との関係が強くなった背景には、父親の役割が大きく関係しています。
日本での父親の地位は、欧米よりも強く子供との関係に影響していました。
厳格な父親と優しい母親という日本の昔ながらの家族関係は、子供の健全な成長につながっていたと考えられますが、現在は核家族化とサラリーマン家庭の増加によって、父親の不在、家族関係の希薄が影響して、母親と子供の関係が強くなってきたのです。
父親の役割が見直される
父親の不在や核家族では、家族と過ごす時間が短いことから家庭での父親の存在価値が希薄になっています。
よく仕事で忙しい父親の留守に「うちは母子家庭だから」などと、母親同士で本気とも取れる嘆きを口に出すことがあります。
母親と子供の関係は強くなりますが、父親が果たす役割も母親に委ねることになる為、帰宅した父親と子供との関係はぎくしゃくしたものになります。
母子の関係が強くなると母の感情をそのままストレートに子供が受け止めることになり、母親は子育てのストレスを吐き出せずにいます。
親の役割分担が出来ていれば、悪いことをした子供を叱る強い父親、優しい言葉で受け止めてくれる母親、それぞれに子供は愛情を感じることができますし、夫婦もお互いを思いやることが出来ます。
父親不在は、子供に「父親から見放されている」「興味を持たれていない」という感情を持たせます。
父親との関係の不安定さが、境界性人格障害を発症する原因になっている場合もあります。
父母と子供への存在バランス
父親が仕事の都合で、不在が多くなったとしても子供との関係を築くことは出来ます。
短時間であっても父親の存在を感じさせる子育ては、とても大切になります。
普段家に居ない父親が、子供との距離感に悩んで遠慮する態度を取っていると、子供は信頼関係も愛情も感じなくなります。
また、親の権力をかざして支配的態度を取ると、子供は「居ないくせに何を偉そうに」のような感情を持ち、反発と抵抗を繰り返します。
自分が境界性人格障害になったのは、父親のせいだと言いそうですが、「親のせい」になります。
こんな父親と結婚した母親が悪い、父親は家に居ないから悪い、全部親のせいだ、と子供は心を閉ざしてしまいます。
子供にとって、母親も父親もそれぞれに大好きで、自分の事を一番に愛してほしいと思っているのです。
子育ては母親の仕事などと言う父親は、子供を見捨てたと思われても仕方ないほどの責任放棄をしています。
子育ては夫婦で行い、子供への愛情は夫婦で与えるものです。
子供は幼い時から微妙な夫婦関係のバランスを見て、喜んだり傷ついたりしているのです。
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