自己同一性障害の治療
人は成長の過程で、自分がどんな人間で、何がしたくて、将来どんな仕事をしたいか、どんなものが好きで、自分の意見がこうである、と言ったような「自己」を確立していきます。
思春期には、自分と言う人間が分からずに悩み苦しみますが、年齢を重ねるにしたがって、自分はこういう人間であるという行動と考えが定まってくるのです。
「境界性人格障害」の人に見られる「自己同一性障害」
成長過程で自己の確立が出来ていないと、自分の考えと外から見られる自分像が一致せず、大人になっても、自分が何者なのかわからないままで、ふわふわした不確かな感覚になっていきます。
自分で判断しなければならない時でも、行動や考えがまとまらない為に適切に判断できなくなります。
しかし、この自分がわからない、自己の確立が出来ていないだけでは病気とは言えず、病院での投薬治療や入院治療などを必要とすることはありません。
「自我同一性拡散」(自己同一性障害)
社会人として会社勤務する人であっても、自分が何をしたいのかわからない、その時々で相手に合わせて行動するので、どの時の自分が本当の自分かわからないなど、成長過程の子供のような考え方、心の持ち主である人がいます。
幼少期の抑圧や家庭環境などによって、自分の意志を持つより親の言う通りにしていればうまくいくと思いこんで、自己の発育を妨げてきた結果になります。
自分が自分である確信が持てない、自我に統一感がなくバラバラな感じで「自我同一性拡散」とも呼ばれます。
病気ではありませんが、心の病の温床になり得ます。
「カウンセリング」で「自我」軸を強化する
自分の中に確固たる「自我」が存在しない状態では、人間関係やストレスによって自分の意志がぐらつき、不安を抱えて他者に頼ってしまい、うまくいかないと落ち込んで対処できなくなります。
その結果、神経症、不安障害、うつ病、パニック障害などの引き金になっていきます。
自我の確立と強固な軸を持つためには、「カウンセリング」が有効な方法になります。
幼い時からの心のわだかまりや、自分が欲していたものを手にしていない時期の自分を振り返り、自分は何者であるのかを自分自身で見つめなおしていきます。
自分の苦しみや過去の辛さを、内に隠しておくのではなく言葉にして外に出します。
悩みや苦しみを言葉で他者に話すことで、自己の同一化を目指します。
心を言葉に変えることで自我を確立して、ぶれない自分「軸」を育てていきます。
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