MMPIによる境界性人格障害の診断

MMPIによる境界性人格障害の診断

MMPIによる境界性人格障害の診断

MMPIは「ミネルタ多面人格目録」というもので、主に面接・観察・心理検査の3つの検査方法で行われます。

 

MMPIの境界性人格障害の診断基準というのはどういうものなのか見てみることにしましょう。

 

MMPIの診断基準とは

日本のMMPIの検査は行われていますが、世界各国に比べては浸透しているとは言えない状況だそうです。

 

しかし、検査を受ける側負担も少なく今後の検査方法の行く道を見守りたいといったところでしょうか。

 

では、検査基準を見ていきましょう。

 

MMPIの臨床尺度(10個)

  1. 心気症(ヒポコンドリー):Hs……些細な身体感覚の異常に過敏になって、自分が何かの病気ではないかと思い込む傾向。
  2. 抑うつ傾向:P……気分が塞ぎこんで行動力が低下し、暗い憂鬱感や面倒な億劫感に囚われる傾向。
  3. ヒステリー性:Hy……外界の対人関係やストレス状況に対して神経過敏に対応し、自己顕示的で感情的に興奮しやすいヒステリー傾向。
  4. 精神病質的偏倚(へんい):Pd……社会的な制度や既存の価値観(権威的存在)に執拗に反抗する偏屈で不適応な態度の傾向。
  5. 男性性・女性性:Mf……帰属社会で一般的に認められている性別役割行動を取っている程度と社会的性差(ジェンダー)に対する態度の傾向。
  6. 偏執性(パラノイア):Pa……過度の猜疑心に基づく被害妄想や嫉妬心の過剰による嫉妬妄想などパラノイア傾向。
  7. 精神衰弱:Pt……不安感によって心身の衰弱と環境の不適応をきたすなど神経症的な傾向。
  8. 精神分裂病傾向(スキゾフレニック):Sc……統合失調症(精神分裂病)の典型的症状に見られる観念連合の弛緩や両価性(アンビバレンス)、自閉的態度の傾向。
  9. 軽躁性(マニア):Ma……躁うつ病(双極性障害)の躁転期に見られる過剰な活動性や気分の高揚(ハイな爽快感)の軽度な傾向。
  10. 社会的内向性:Si……興味・欲求が内向性を見せており、外部の社会生活への参加や対人関係への関与を回避する傾向。

DMS-5と同じ、社会生活や心の変化を重要視していますが、より当事者の心の中に潜入してリアルタイムでどのような症状で度合いはどのくらいなのが分かりやすく診断できるような気がします。

 

MMPIのメリット

上記に触れたように、検査する側が感情移入しないように客観的で診断できる流れが作られており、上記の臨床尺度基礎尺度と照らし合わせることで、当事者の心へ近づけることが可能のようです。

 

基礎尺度

疑問尺度(?)……三件法で『どちらでもない』という優柔不断で拒絶的な回答を選択した度合いを評価する尺度。

虚構尺度(K)……自分を良く見せようとする『社会的望ましさ(SD)』に影響されている度合いを測定する尺度。
頻度尺度(F)……受検態度の偏りと注意力、質問項目間の整合性(矛盾のない回答)などの心理テストへの適応水準を測定する尺度。
修正尺度(K)……臨床尺度の修正を目的として回答する受検者の防衛的な態度を測定する尺度。K点が高いと自分の精神状態に関する質問への回答を技術的(意図的)に修正することで、『理想自我に基づく自己像』を相手に認識させたい願望が強いと推測される。

 

2つの尺度がリンクして診断基準が明確に分かるというとのが、MMPIのメリットと言われています。

 

※参考資料:[MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory, ミネソタ多面人格目録)のパーソナリティ検査]
http://digitalword.seesaa.net/s/article/26759920.html

 

※参考資料:日本臨床MMPI研究会
「MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory)とは」
http://mmpi.jp/mmpi.html

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